NMR(核磁気共鳴)
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核スピンに磁場をかけると,核スピンはその磁場のまわりをコマのように歳差運動(首ふり運動)します。
その歳差運動と同じ周波数の電磁波を歳差運動している核スピンに与えると、それに共鳴して首ふり運動の角度が変化し、電磁波を吸収、放出します。このような現象をNMR(核磁気共鳴)現象と呼びます。
例えば、0.4テスラの磁場中の水素核スピンなら17 MHzの電磁波を与えれば、水素核スピンは電磁波を吸収・放出します。
原子核の種類や分子構造の違いによって周波数が異なるので、この電磁波を解析することによって分子構造情報を調べることができます。
これはNMR分光法と呼ばれ、化学分析や人体内部の解析などに必要不可欠な方法となっています。
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ESR(電子スピン共鳴)
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電子スピンも核スピンと同様に、電子スピンに磁場をかけると、その磁場のまわりをコマのように歳差運動(首ふり運動)します。
その歳差運動と同じ周波数の電磁波を歳差運動している電子スピンに与えると、それに共鳴して首ふり運動の角度が変化し、電磁波を吸収、放出します。このような現象をESR(電子スピン共鳴)現象と呼びます。
例えば、0.4テスラの磁場中なら12 GHzの電磁波を与えれば、電子スピンは電磁波を吸収・放出します。
しかしながら通常の分子中ではスピンの向きが反対の二つの電子が対になり、電子スピンによる電磁波の吸収、放出は打ち消されます。
そこでフリーラジカルと呼ばれる不対電子が安定して存在している分子を用います。フリーラジカルではスピンが対になっていないので、電磁波を吸収、放出させることができます。
ESRもNMRのように化学分析や人体内部の解析などの必要不可欠な方法となっています。
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MRI(磁気共鳴画像法)
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上述した歳差運動の角速度、共鳴する電磁波の周波数は静磁場の強さに比例します。そのため、磁場に勾配を与えておくと、
同じ分子でも場所によって共鳴する電磁波の周波数が変わることになります。この性質を利用して、人体内部に含まれる水分子の量の分布を
解析し、人体内部を画像化することができます。このような方法をMRI(磁気共鳴画像法)と呼びます。
MRIはケガや病気の診断や脳機能の研究などで非常によく使われる分析法となっています。
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